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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)3153号 決定

本籍並びに住居

岡山県小田郡矢掛町横谷四七番地

農業

安藤豊

昭和二年一二月五日生

本籍並びに住居

前同所八四番地

農業

小野太郎

大正六年三月五日生

本籍並びに住居

前同所

農業

横畑清志

大正一二年一月一日生

本籍並びに住居

前同所三〇九八番地

農業兼物品販売業

津尾晴俊

大正一三年一月二三日生

本籍並びに住居

玉島市南浦七九二一番地

佃煮卸商

渡辺康雄

昭和二年八月四日生

右に対する食糧管理法違反各被告事件について、昭和三〇年九月二九日広島高等裁判所岡山支部の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人津尾晴俊の負担とする。

理由

被告人安藤豊、同小野太郎、同横畑清志の弁護人裾分正重の上告趣意は量刑不当の主張であり、被告人津尾晴俊の弁護人田口俊夫の上告趣意は、判例違反をいうが、本件のごとく主要食糧を闇買いした被告人がこれを他に譲渡した場合においては、闇買い行為が私法上無効たると否とを問わず、第一審判決に示す法条(食糧管理法施行令八条、同施行規則三九条等)を適用して処断することを得るものというべきであり、被告人渡辺康雄の弁護人裾分の上告趣意一は単なる法令違反の主張であり(本件のような食糧管理法三一条の場合に刑法一九条の適用のあることは勿論である。)同二は訴訟法違反をいうが、所論は結局被告人に不利益な主張をいうに帰し適法な上告理由とは認め難く、同三は量刑不当、単なる法令違反の主張であり、被告人渡辺康雄の弁護人小倉金吾の上告趣意は量刑不当の主張であり(原判決は被告人渡辺康雄に罰金刑を科していないから所論は前提を欠く。)、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条(被告人津尾晴俊につき)により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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